雨天続きで順延されていたFLAKE CUPが7月20日、鵠沼スケートパークにて開催された。
この日は夏場の湘南では珍しい北東からの涼しい風が吹き、日差しも薄い雲が程良く遮ってくれる
という、過ごしやすい気候に恵まれた。

毎年鵠沼で恒例となったFLAKE CUPも今年で3回目を迎え、年々成長する参加ライダー達と
の久々の再開は、筆者のスケートライフにとって楽しみの一つとなっているのだが、今回も期待に
逸れず多くのライダー達が素晴らしい成長を遂げ、ガッツ溢れる熱い滑りで多くの感動を与えてく
れた。

ジャッジにはアジアを代表するスケートボーダー・小川元、神奈川スケート界の牽引者・亀岡裕一、
トランジッションマスター・米谷映が務め、MCにはスクールやデモなどでキッズスケーターのレ
ベルアップに多大な影響を与える上田豪が今年も参加してくれた。

キッズクラス(1年〜3年生)では、当然の事だがまだスケート歴が浅い子達が殆どで、基本的なト
リックを覚えたての状態で試合に臨むが、緊張の為か思いどおりに技が決まらない者が多く、なか
なか得点を重ねることができず苦戦していたようだ。

そんな中、優勝したのは白井空良(ムラサキ厚木)、基本的な動作がしっかりと身についており、
色々なトリックをバランスよく取り込んだルーティンはジャッジにとって好印象だったようだ。

オールメイクでランを終え、ギャラリーから拍手を浴びるも、かなり不満そうな表情でランプを
去るあたり、かなりハイレベルなルーティンを意識していた意識していたように見えた。

3年生ということで来年からは高学年のジュニアクラスとなるが、トリックの難易度よりも、スピ
ードと高さのアップを目標に練習すると好結果が出そうだ。






またここで一つお詫び申し上げる事があります。キッズクラスの集計がスタッフの入力ミスにより
結果が正しく反映されず、表彰式で間違った発表をしてしまいました。

これにより参加者の皆様には多大なご迷惑をおかけしてしまった事を深く反省し、今後このような
間違いが二度と起こらないよう、スタッフ一同慎重に集計に取り組む所存であります。

大変申し訳ございませんでした。

本来ならば3位として表彰されるはずであった、清野玲良君のライディング写真をここに掲載させて
頂きます。





ジュニアクラスは(4年〜6年生)は既に見覚えのあるライダーが殆どで、体の成長と共にトリックも
かなりレベルアップしており、過去の記憶と交差しながら見るとそれぞれの練習の度合いや土地ごと
のカラーなどが垣間見えて、筆者にとってはなかなか見応えのあるクラスだ。

このクラスでの優勝は飯田泰彦(ムラサキ本厚木)、ここ最近、ミニランのみならずパークスタイルの
試合でも好成績を修めているライダーである。

彼は関東アマチュアサーキットをはじめとする各地区のアマ戦で活躍する、西川誠・桑本透伍・石丸慧
祐らのホームコートと同じ「X-DOME」でよくみかけるライダーで、このパークの若手選手層の厚さを
感じずにはいられない。

非常に安定したフォームからキレのいいトリックを繰り出し、フリップ系のトリックはスペシャルクラ
スに引けをとらない完成度、今後彼がこの一点を徹底的に磨くのか、それともエアーやスライドなども
均等に鍛えていくのか、どちらにしても将来がとても楽しみである。

また小学生にしては珍しくニーパットを装着してない部分もスタイルとして目立った部分だった。
怪我をしないようこれからも頑張って頂きたい。









さて、次のクラスは非公式開催となった「パパママクラス」。
参加資格は(自分の子供がスケーター)だ。

AJSAにおけるFLEAK CUPでは今回が初の試みであったが、ナイスパフォーマンスの連続で会場は
予想以上にヒートアップ、普段キッズスケーターに檄を飛ばす親御さん達が、この時ばかりはマジ
顔で日頃の練習成果を披露できる貴重な場となった。

優勝したのはもちろんこの人、西川たかし。

80年代から業界を支え続けてきた日本スケート界の重鎮であり、近年活躍している多くのスーパー
キッズを育て上げてきた張本人でもある。

名実共に優勝して当然の彼だが、相当なプレッシャーを与えるMCやギャラリーの声援に、いつもの
調子を出せず、ハードスラムを連発していたが、最後のランではなんとか普段の滑りを取り戻し、試
合に勝つとはなんたるかをしっかりと子供たちに見せつけてくれた。

しかしながらこれで、他のパパママから「打倒西川!」が当面の目標になったのは言うまでもなく、
王座を維持するには今後更なる練習を積まなければならなくなった。







さて次はレディースクラス、こちらの参加条件は「女性」、これさえ満たしていれば年齢・レベルに
関係なく誰でも参加できるとあって、初心者からスポンサードライダーまでがその対象となる。

このクラスでは順位というよりも、それぞれが日頃の練習の成果を発揮できるかどうかという点に個々
こだわっているようで、皆一様に得意なトリックや覚えたてのトリックを存分に披露していた。

個人的にはやはり飯野沙耶香(FLAKE)のフリップトリックが印象的だったが、メイク率が今一つでポイ
ントが伸び悩み、優勝はオリジナリティあるリップトリックで安定したライディングだった伊佐風子(
ムラサキ那覇)となった。

彼女もまた、ここ最近の神奈川で行われるコンテストでメキメキと頭角を現しているライダーだ。









さて、いよいよエキスパートクラス

このクラスは小学生ながらもスポンサードを受けているライダーというのが参加条件とあって、
参加ライダーの殆どが普段は大人と同じ条件で試合に出場し、好成績を残している者たちだ。

去年と比べると個々のレベルアップは勿論だが、驚くべきは全体のレベルが数段上がっている
という点だ。去年と同じでは勝てないのである。

この激戦を制したのは佐川海斗(FLAKE)、コンテストで得点を重ねるにあたって必要な要素である、
スピード・高さ・距離・キレ・難易度、全てを万能型ともいうべきスタイルで見事にまとめあげた。

「小学生」というハンデを抜きに考えてもかなり完成度の高いライダーである。

今後、この完成されつつある「万能型」スタイルに、どういったチューニングが施されていくか
将来がとても楽しみだ。










そして各クラスの順位表彰とは別に、ジャッジ3人がそれぞれに好印象を得たライダーに特別賞が
与えられた。

亀岡裕一賞・小林多聞(カスタム)

米谷映賞・中野若葉(TRICK STAR)

小川元賞・藤澤虹々可(ムラサキ八王子)





文章・写真/後藤大輔