2009年度ELEMENT特別協賛によるAJSA PRO開幕戦が神奈川県鵠沼スケートパークにて行われた。

予定では5月16・17日と2日間に渡り開催されるはずだったが、17日が悪天候予報のため中止となり、今回は予選の順位がそのまま試合結果の順位となる形となった。

エントリー総数は34名と若干少なめではあったが、それでもエントリー名簿には瀬尻綾・才哲治・立本和樹・杉本瑛生・小沢正道らの常にコンテスト上位を占めるトップライダーに加え、前田正義・阿部直央・米坂淳之介・中坂優太・井波来夢・内英二・久保田敏弘・馬目陽太・豊岡航生などの様々なシーンで活躍するプロライダーが名を連ね、プロ開幕戦としては申し分のない豪華めんつでの開催となった。

鵠沼パークはスケートボードのみならず、BMXなど他の競技も考慮された設計となっているため、従来のスケートボード専用パークよりもセクションが大きく、間隔もかなり広くとられている。
しかも路面がアスファルトとあってスピードを維持するのが難しく、理想のルーティンをこなすにはそれなりのパワーとスタミナが要求される。
また、このアスファルトの路面の荒さは速度を奪うだけでなく、ケガのリスクも非常に高くなり、精神的な面への負担もかなりのものである。
事実、練習時間の開始早々にスラムto流血をメイクするライダーが続出し、治療(メンタル面も含む)のためにやむなく滑走を一時中断する者もいたようだ。

近年、新たに新設されるスケートパークは、こういった安全面への配慮が向上し、予算面などでよほどの理由がなければ面ツルのコンクリート路面となっているのだが、鵠沼パークではそういった配慮が一般化される以前にできたパークであり致し方なしといえばそれまでだが、このような全国規模のコンテストが毎年行われ 、平常でも多くの競技者が訪れる場であり、公営施設という観点から考えても、是非安全面を考慮した路面のリニューアルを検討して頂きたいところである。

さて、試合の様子をお伝えしていこう。

先にも記したとうり、2日目の決勝日が天候不良のために中止となったのだが、この予選ランの時点ではまだその中止案は決定していなかった。

通常、予選というものは決勝に残るための試合という判断から、失敗の少ない無難な滑りでまとめてくるライダーが多いものだが、数名の選手はどうやら翌日の雨天中止を想定していたようで、かなりレベルの高い構成にしてくるライダーもいた。

中坂優太・阿部直央・杉本瑛生・井波来夢・前田正義らは単発のミスがあり惜しくも入賞には至らなかったが、プロクラスならではの見応えあるトリックを披露しギャラリーの印象に強く残ったことだろう。

入賞は5位に久々のAJSA参戦となるソニック・米坂淳之介、出だしから体調が優れず終始苦悶の表情であったが、いざ本番となるとベテランならではのスムースなリズムでルーティンをまとめ、練習中に見せなかったトリックも決まり意外性を印象付けるなどベテランならではの貫録を発揮し、なんとか結果を残した。





4位は50-50・小沢正道、“OZZY”と紹介した方がピンとくる方もいるだろう。
リスクを恐れないかのような豪快なライディングは今大会でも輝きを発揮し、トップ
スピードからビッグセクションに向かって放たれるトリックは、まるでロックスター
のライブさながらのド迫力だ。
これからも彼のライディングはいろいろなメディアで紹介されていくだろうが、彼の
持ち味を堪能するのであれば、やはりこういった場でのライブ感溢れる滑りを生で見
てもらいたい。


3位はムラサキスポーツ・才哲治、多彩なテクニックと“鉄人”の異名をとるタフネス
ぶりで、AJSAサーキット戦において常に好成績を残す選手
予選前の練習で手を怪我したせいか、本番では彼の特徴の一つであるグラブトリック
がやや影をひそめたが、それでもリップトリックやマニュアルなどで随所に工夫され
たトリックをちりばめ、ギャラリーから歓声を受けていた。内容は申し分なかったの
だが、上位2人の気迫溢れる滑りにやや押されてしまった感があった。



2位はムラサキスポーツ・立本和樹、今年2月に行われたインタースタイルのイベントで
右肘脱臼という怪我からの復帰試合となる今大会だが、まずはこの短期間で試合レベルの
スケートができる状態までコンディションを整えてきたところを、試合内容とは別に大き
く評価したい。
正直、そのような状態で並居るプロライダーを制してこのような結果が出せるとは想像に
難く、高得点だった2本目を滑り終えた時に見せた安堵感と自信溢れる彼の表情は、筆者
の目に今でも鮮明に焼き付いている。
彼には、全面に出された明るい人柄や豊富なスケートテクニックに目を奪われがちだが、
最も注目し学ぶべきは、そのプロとしての精神の在り方のような気がした。
本当におめでとう!


そして優勝はカスタムトラックス・謝花明徳、殆んどのライダーがあくまでも予選らしい
滑りであったのに対し、彼は1本目から完全に決勝を意識した滑りであった様な気がする
レール・ボックス・ヒップ・バンク・スパイン・リップ・アールtoバンクと、ほぼ全ての
セクションを流れを止めずにノーミスで繋ぎ、ジャッジ全員が一位を認める素晴らしいラ
イディングだった。
映像を紹介できないのが残念だが、もしあなたがこういったコンテストルールでの好成績
を望むのであれば、どこかで彼の今回の滑りを入手し参考にしてみるとよいだろう。
また彼は試合の1週間ほど前から現地入りし、入念なコースチェックと練習を積んでいた
のがこのような結果を出せた大きな要素となったようだ。




そして、予選(事実上決勝)終了後、急遽アールtoバンクを使ってのワンメイクコンテスト
が開かれ、フリージャム形式で多くのライダーがスーパートリックを狙ってのセッション
となった。
これを制覇したのはやはりこの人、小沢“OZZY”正道、ぶっ飛びのワンフットBS360を
見事にメイクし賞金である現金3万円をもぎ取った。
OZZYの他には才哲治・西川誠が大健闘していた。



以上をもって、AJSA・ELEMENT CUPパークスタイルは終了となった。

次回、AJSA PRO第2戦は7/18〜19 に静岡県・花川スケートパークでシューズブランド
“es(エス)”による、es Street Style Challengeとして行われる。




写真提供/平沼孝之・傳田太郎・後藤大輔  文章/後藤大輔








■バーチカル

今回は試合方式、ジャッジシステムに新システムを採用。
小川元が考案した新制度の基、大会は進行した。

今回のジャッジは大会常連の小川元・松井立、そして80年代の
清瀬ボウルを知る、そして現在も現役の島村一成の3人。
今回のバートクラスのジャッジシステムを詳しく説明しよう。
大会ルール・オープンクラス:
20分間、順番関係なしのスネークジャムセッション。
いい滑りを残したスケーターが上位に順位を移動する仕組み。

オープンクラスは非常にレベルの高い大会となった。
間違いなくアジアのトップレベルだ。


9位:北浦孝治はエアを連発、バートミーティング(国内バー
トコンテスト)やAJSAの大会常連者だ。見るたびにレベルアッ
プしている。


8位:馬目陽太、久々のバート参戦となった馬目は数々のノー
ハンドトリックのバリエーションにトライ、迫力あるスケート
を披露していた。最近では鵠沼のバートで毎週末楽しんでいる
とのことで、実質ここのローカルとも言える。


7位:後田武利、高さのあるエアー、とりあえず不安定でも乗
りに行くスタント性を持った彼の滑りは、周りを興奮させる力
がある。滑りが安定し、まとまったルーティンを成功させれば
さらに高順位を狙えるだろう。しかし、今のこの興奮させるス
ケートが彼の魅力でもあるが。


6位、堤翔斗。スノーボードのトッププロの彼は普段雪山にて
多くの時間を費やす。にも関わらずスケートコントロールも抜
群。スケートボードでも空中に恐怖感はないようだ。練習から
本番までの短い間でエアの高さがみるみる上がる。幾つかのエ
アーを連発していた。


5位、中尾淳一。迫力のある荒削りといえば彼。系統的には後
田選手と同じ方向であろうか。気合で乗りに行くタイプで滑り
に多くあわられている。ここ最近はスケートする時間があまり
取れない彼だが高いレベルを今なお維持している。お得意トリ
ックのヒールフリップやロデオなどで観客を沸かせてた。


4位、上條顕映
乗れている、というのが第一印象。彼は兵庫gのローカルであ
るが、gでスケートを始めた人は基本ができている人が多いと
感じる。バリアルやロデオ540もルーティン中にメイク、エア
の完成度が何よりも高く、全体の質が高順位をもたらした。


3位:平野英樹
スノーボードでも有名な彼。やはり空中感覚は非常に長けてい
て、エアーでのミスが少ない。まるでスノーボードのハーフパ
イプを見ているようなルーティンワークでキャバレリアル、ス
イッチキャバレリアルと技は続く。エアーには高さもあり、ジ
ャム後半は540もメイク。スノーボードの空中感覚を十分に
生かした滑りであった。


2位:芝田元
佐野誠哉・芝田元といえば今年のアジアンエックス決勝進出組
み。佐野に追いつけ追い越せで育ってきた彼の勢いが、現在で
は佐野誠哉を脅かす存在となってきた。安定感のある数々のエ
アトリックのグラブやスタイルバリエーションもずば抜けてい
て観客は安心して観ていられる。ハーフキャブやフルキャブ、
そして得意のフリップインディも高いメイク率にて観客の目を
釘付けにしていた。


優勝:佐野誠哉
技の高さ、難易度も高く、スケートに自信に満ち溢れていて、
迷いのない流れるようなルーティンワークを見せていた。
あの広い鵠沼バートの端から端までを滑り渡るバックテール、
バックリップ、フロントノーズグラインド・・・エアーの高さ
も安定度もあり、そして回転系の540も各ランで組み込んでいた。
板を回すバリアルやキックフリップミュートも幾度も決めていた。

AJSA2009年のバーチカル・オープンクラスは佐野誠哉が優勝を勝ち取った。





アマチュアクラス

10人の参加者のうち、上位6名が決勝へ進出、こちらも順番関
係なし15分間のスネークジャムセッションで会場を沸かせた。

決勝



6位:傳田郁
鵠沼ローカルキッズ、エアーも毎年レベルアップしていて今後
の鵠沼の若手バートシーンを引っ張る存在になってほしい。


5位:中島卓
左腕の大怪我からの復帰、ようやく治った腕でのグラブも可能
になった中島。ジャムセッションという入り放題という利点を
生かし、新たなる技に挑戦する姿も見られ、決めのスイーパー
も見事にメイク。


4位:板谷築磨
東京のMap's Tokyoローカル。普段は大会等に顔をださないが
、スネークジャムに興味を持ち、久々の参戦。エアの高さはア
マクラストップ。大会順位よりもスケートセッションそのもの
を楽しんでいた。


3位:奥野卓哉
東京Map's Tokyoローカル。見たこともない技のオンパレード
。今までにメイクしたことの無い技ばかり挑戦していて見るも
のを楽しませていた。もちろん決めのルーティンもきちんとこ
なし、マドンナやワンフット、ゲイツイストやハンドプラント
等もしっかりとメイク。


2位:平野歩夢
平野秀樹の弟、あゆむ。エアの高さも安定感もやはりスノーボ
ード仕込み。スノーボードとスケートボードを操るバートスケ
ーターが日本にもまた増えてきた。安心して観てられる。


優勝:堀米雄斗
日本最年少のマックツイスター、ユウト。彼の持ち味は「周り
の真似」でなく、自分の長所を伸ばしているところ。これでき
そう、っていうものを確実に増やし、レベルアップしている様
子。内容はノーハンドBS360やキャバレリアル、ハーフキャブ
やノーリー系トリックと、人と違うトリックを選択。ルーティ
ンにマックツイストも随時入れてきて、見事優勝に輝いた。今
後も楽しみなキッズである。



日本のバーティカルのレベルも非常に高くなってきた。
今後も人口が沢山増えて、盛り上がっていくことを期待する。