2011年8月28日に行われた、エレメントカップ・プロ・パークスタイルの模様をお伝えします。

恒例となったエレメントカップ、今年もハード&ビッグサイズのセクションで有名な鵠沼パークでの開催となったが、今年は真夏の8月とあり、昼間の炎天下での暑さをどう凌ぐかが勝負の分かれ目とポイントとなる。

この厳しい条件の中で目立った滑りをしていたライダーは、日頃から夏休みを利用してこのパークのコースと暑さに慣れていた学生ライダーが多く、逆にエアコン慣れした社会人選手にとってはかなり負担となっていたようだ。

決勝上位8名の結果は以下のとおりとなった。

8位・松木愛瑠

寒河江パーク育ちの彼らしく、Rセクションではかなり安定したメイク率だったが、決勝では暑さでバテたのかミスが目立ち、予選2位から後退となる。

東北勢ではトップランク。

7位・桑本透伍

エアトリックでは高さ・トリック数共にトップクラスの実力を持つ彼だが、最近では細かいトリックにも興味があるようで、試合でも果敢にチャレンジしていたがこれらが決まらず時間ロスとなりポイントが伸んだ

鵠沼で仕様されているNFボードは温度や湿度で強度やグリップが大きく変化するので、ミスの許されない場面でのテールヒットトリックは慎重な判断が必要となる。

6位・佐川海斗

偏差値70との噂で、毎回計算されつくしたルーティンワークを見せてくれる彼も、今回ばかりはパークコンディションの悪さに随分と苦戦していたようだ。

このビッグセクションが連なるパークで、最年少という体格的なハンデを考えればこの結果でも充分健闘したのではないだろうか。

5位・春日美夢

体の成長と共にスケートもだいぶ大きくなってきて、なかなか見応えある滑りになってきたが、今回は試合というよりは自分のこだわりと戦っていたように見えた。

もともと得意としていた彼のパーソナリティーを生かせる場面は幾つもあったのに、自らそれらを封じたルーティンにしてきたのが残念。

4位・米坂淳之介

コンテストは勿論、マスコミ・ビデオ・デモ・スクールとマルチにこなし、フィールドにおいてもパーク・ストリート・ランプとオールラウンドに活躍するライダー。

今回も偏りのない安定したトリックチョイスでその多彩ぶりをギャラリーに魅せつけていた。

3位・西川誠

「足が調子悪いんだよね・・・」

予選前から筆者にそう話していた彼らしく、今回は持ち前のスピードとパワーで押し切るスタイルは影を潜め、一つ一つ丁寧にこなす滑りが印象的だった。

プロスケーターとして連戦を重ねる以上、ベストコンディションで臨めることはそうそうないだろう。

そんな時でもこういったルーティンの選択で結果を残せるのは、スケートレベルだけでなく選手としても成長してきた証拠だろう。

2位・才哲治


1分ポイント制のルールにおいて、いかにミスをしないかが勝敗を分ける一つの要素となるため、殆どのライダーが「それなり」でまとめようとしてくるのがセオリーなのだが、彼はそういった近年の無難なスケートに喝を入れるかの如く、次々と見る者の想像を越える動きを見せてくれた。

結果は2位となったが、ギャラリーへの印象が最も強かったのは彼だったのではないだろうか。

1位・瀬尻稜

国際試合を多数経験する彼にとって、こういった国内試合ではプレッシャーなど微塵も感じていないのか?と思わせるほど、落ち着き払った貫禄の滑りだった。

1分ポイント制のルールを熟知し、隙のない得点加算とオールメイクでの事な勝利だったのだが、欲を言えば実力は充分にあるのだから、もう少しエンターテイメント性があっても良かったように思える。

そういった意味ではまだまだ慢心せず、諸先輩プロライダー達に学んでもらいたい。

「優勝を演じる」

彼のスケートはそんなレベルにまで到達したように思える。

写真/テキスト・後藤大輔